はじめてのおつかい

働いているスーパーでの出来事。
「あのー。
すいません」小さい声で呼びとめられ、振り向くと…そこには4歳~5歳ぐらいと思われる小さな男の子が立っていました。

眉毛が八の字になり、誰が見ても困っている様子がわかります。
小さな体に不釣り合いな、買い物かごを片手に抱えて、たたずんでいる姿が なんとも言えない哀愁を漂わせていました。
「お弁当がほしいんです。

」弱々しい声でそう訴える男の子の片手を見ると、ギュッと握りしめられた千円札が。
よくよくお話をきくと お母さんが何らかの事情で寝込んでしまったため、家族全員分(4人)のお弁当を買うという任務を背負っているようでした。
何とも健気…ただ、問題が。

うちのスーパーで販売しているお弁当は値段が300円台から500円前後。
どう考えても4人分のお弁当を買うのには予算が足りません。
(男の子は千円しか持っていない様子)お金を持たせた「お母さん」が間違えたのか、男の子が何かを勘違いしたのか、定かではありませんが、このままではこの男の子は無事に任務遂行できません。

困り果てた、私。
そこへ偶然そばを通った、店長に相談をしました。
同じ年頃の子どもを持つ店長。

おそらく自分の子供の姿と重ね合わせたのでしょう。
とても心配したような表情で男の子を見つめていました。
そこで店長は裏技を繰り出します。

男の子と一緒にお弁当を4つ選び(勿論完全に予算オーバー)、閉店間際の売り切りセールで使う50%値引きシールを貼ってしまいました。
そうすれば何とか千円に収まります。
状況をよく理解していない男の子は、とりあえずお弁当をゲット出来たので、安心したようです。

自分の体の3分の1ぐらいの大きさがある お弁当の入ったビニール袋を重たそうに持って、てくてくと去っていきました。
数十分後、男の子のお母さんを名乗る若い女性からお電話が…どうやら、自分が具合が悪いので、帰りが遅い お父さんやお姉ちゃんは、お父さんがお弁当を買ってくることにして、男の子の分だけ自分で買って来なさいと言ったのに男の子が勘違いしたとのこと。
明らかに予算オーバーなお弁当の量を買ってきてびっくりしたとのことでした。

お金を追加で払います!とおっしゃるお母さんに店長は「いいですよ」というようなやり取り…。
男の子の勇気といい、店長の優しさといい、男の子のお母さんの誠実さといい、心が温まりました。